ここでは建築にこだわらず、最近思うこと,気になることなどを、
定期的に書いています。ひとりごと≠ナすので気軽に読んで下さい。
古建築のトレビア その1 縁結びで有名な、出雲大社の現存の本殿は、延享元年(1744) の造営で、高さは八丈(24m)。これでも神社建築としては破格の スケールですが、古代・中世の本殿は、更に倍の一六丈(48m) の高さがあったと様々な古文献に記されています。 たとえば、本居宣長(1730-1801) が随筆集「玉勝間」で紹介して 有名になった「金輪造営図」。中世の本殿の平面プランを示した 図でそれによると<柱>の数は9本で「田」の字型のプランである 点は現状と同じですが、それぞれの<柱>は、3本の丸太を鉄の 輪でくくり合わせた物で、最も細い側柱(計6本)でも直径が1丈 (3m)とあります。さらに、本殿に上る階段は、長さが1町(109m) というのですから途方もない物です。さすがの宣長も「心得ぬこと のみ多かれど」といっているほどです。 平安中期の「口遊」は、当時の背の高い建物のベストスリーと して「雲太、和二、京三」をあげています。つまり出雲大社本殿、 大和の東大寺大仏殿、平安宮の大極殿で、高さに関しては、 棟高一五丈の東大寺大仏殿を凌いでいたとされています。 (武田) |